2022年未来10月号(2022/06/12作成)月詠

連鎖

夜の公園おもったよりもいるひとはグループだったかもしれないな
思うには足りなかったと思うとき窓をななめに流れる雨滴
答弁はしどろもどろで実際を知るといいひと いい権力者?
紫陽花のようにこどもはかたまって手に手に風船を持っている
戸締りの合図に警備音は鳴る 誰もいないと伝わってゆく
もういちど同じくらいの傷が来るエスカレーターは廻るんだった
年月の好きなところを入れ替えて合わせ鏡のあいだを抜けて
ビルがうすい雲をくぐりぬけるうちに航空障害灯がくっきり
早送りすればあなたの説明がすごいはやさで流れるだろう
愛と雷 やってきて寝そべった山羊をすこしは触ってみよう

 

2022年未来10月号

2022年未来8月号(2022/05/14作成)月詠

引越し

椅子と大通りとローソン 縮尺が歩いたところから組み上がる
いいひとを見つけなさいっていうひとの水にグラスが慣れてゆくまで
町内の端に向かっていくつかはコインランドリーが減ってきたはず
東京のひとはどこにも行けなくて死者は死なない果てを目指して

 

2022年未来8月号

2022年未来7月号(2022/04/12作成)月詠

サファイヤは六十万円するという指にしてから教えてもらう
おとずれるひとをなくして衣替えしそびれていたラスコーリニコフ
いらだちと憤り立つ十字路にだれも(わたしも)身を投げないな
徒歩距離のルート きのうの父親はかたくなだったということにして

 

2022年未来7月号

2022年未来6月号(2022/03/13作成)月詠

探梅

坂道をたどっていけば梅林が土から湧いてでてきたような
日本には広場がなくて井戸端があったみたいなつるべ落としだ
梅を見にきた子と親がしき布をたたんでさよならをしてくれた
なかったら買える暮らしにたぶんある小さな引き出しにしまいたい

 

2022年未来6月号

2022年未来5月号(2022/02/06作成)月詠

流れこむ川の終わりが河口なら、じゃあ、口ごもって分かれよう
スピードを速める車に雪が浮く やりたいことに戻っていいよ
去年なら通った道をまれに見てツバキがあったはずなんだけど
駅までの道に話した干潮のあとに記憶はとりのこされて
賢くてやさしいひとの戦闘を見習うコマに見習うことって
流れこむ川の終わりが河口なら、じゃあ、口ごもって分かれよう

 

2022年未来5月号

2022年未来4月号(2022/01/05作成)月詠

地震

やることをとりあげられて座ったら降ってくるアルコールの飛沫(しぶき)
夜の間に凍る池面を見下ろしてあなたの雪の写真をもらう
晩年の設計だった太陽を背にするとだけ決めた庁舎だ
夜の間に来ない地震 一枚岩ではない夜が割れないように

 

2022年未来4月号

2022年未来3月号(2021/11/30作成)月詠

鴨のいる水面とカラスのいる岸のあいだに立って属性政治
半分は納戸になっていた小屋にいた親戚がいた覚え ある
大叔母にあたるあなたが亡くなってあなたのあにのつまのわが祖母
次のとき 次と思えばひとまずは遠い喪服を借りてすませる
公園がそばにあるから暗くなるようにやっぱり読経のプロ

 

2022年未来3月号