2020-01-01から1年間の記事一覧
工場の屋根のカラスが散っていく向かいのカフェでみんな見ていた 相談をもちかけながらこわくないようになんでもないように言う 水堀のほとんど動かない水をホテルの上から撮っている人 後輩を窓に呼んだらやってきて去年の花火を教えてくれた 2021年未来1月…
きみだって負けないはずさ 学生はそのうち帰ってゆく風物詩 自転車の段差の感じを覚えてる角の銭湯がなくなるらしい 車屋の大きな窓に応接のテーブルがあり椅子は一脚 暗くなり電気をつけた店を出てわずかに冷えた腕で帰った 2020年未来12月号
みずうみに電車で行った やまひとつ抜けた暗さは覚えていない Slackに海の浅瀬が光ってて35秒で終わってしまう 隅々へ正午を告げる放送とノイズがここもあったらしいね 海際で太鼓を叩くひとがいて思ってたより遠かった宿 暗くしてわたしの部屋がうれしくて…
クレーンが対岸の辺にかたむいてむかし丸太があふれたらしい 空き地から工事車両がゆっくりと曲がっていってその後を行く 改札の流れを横に行きたくて茎が斜めの水草のよう 2020年未来10月号
垂れ幕にビルの名前があるビルのここは涼しく天井がない 入ったらいちばん奥にいたひとが店員らしく確かめられる 隣席のどちらも二人組がいて教えるひとと笑ってるひと この店は造花を窓に置いていて閉店したら片付けている 高速道路の底まで伸びた街路樹を…
文脈をおぼえていない映像の枝から雪解け水を降らす木 プリンターに近寄るたびに白鷺が池の水面をつつくうつむき 温室のしずかな自動天窓の次の回までソテツは揺れる 行くまでは前の冬から変わらない植物園と密会をする 未来2020年4月号
まひるまの館内抜ける引率の列から声が明るくうねる 群生の池のほとりが青々と風に倒れた木に山のよう エレベーターは夜に降りればかつてないスペースインベーダーのひかりだ それぞれの予定が雨のように来て空いたところがその日にされる 未来2020年2月号
左手にお盆をのせて歩くとき君は盆地に住んでいるひと ふれるときびっくりさせないようにしてお金を払う仕組みを通る それぞれが川に向かって窓を閉じマンションはいま嵐を前に ニシキギにかぶさるように枝しげりかすれた札をぶらさげている 大荒れのススキ…
考えて部屋には茄子とすこしだけ体力の要るものを残した雨雲のようにむこうが夜になる 地元の旅と思えばいいか海だから西からずっと暮れてきて広がるまでを海に見ていた反対のロビーの窓に光ってる観覧車 知性 欲しいのかなあ夜の秋とてもすばやく訪れて明る…
船に乗れば小さな船とすれちがう 二十四時間表記の通りナオシマプランnoch、と少年叫ぶ井戸水は再現されたかつての家に南寺待つうちに信じるような暗闇の、あ、海がそっちにあるんだよなあ初孫をあなたは遠く問いながら韓国の子とひとしきり言うバラ園は薔薇…
白鳥のあいだをゆっくり抜かしてく一艘だけの手漕ぎのボートあなたはあなたに関係なくてみんなから次第に喋りかけられている大きめの郵便局のうえにある団地と同じ高さのこちら21世紀ってこと知っていた? その建物で投票があるそのあとずっと話してた、カフ…
海やまのあいだの浜に飼い犬や子供を連れてみんながあるく近くまで開いた枝を見るだろう目抜き通りの窓にいるひとのら犬がうろうろしてた豆腐屋が平たくなってなくなっていた 未来2019年9月号
たましいをそだてる庭の早緑の樹下にひかりが王冠になる花に手を振りながら撮るムービーをくりかえし見るわけじゃあないねあっちこっちに芝生があってなわとびの持ち手があって子どもたち跳ぶさくらばな咲ききらなくて明るんだ枝のかたちが透けている春粗い…
三階の窓だけ半分開いているカルチャービルに台車が入るかっこいい ラップトップを傾けるための小さな足を開いた3月12日怒りさえわからないなら仕方なく相槌を打つ うちのめすほど高速道路(こうそく)にうっすら曇っていた山がそびえるほどの裾野に降りる寝過…
ビルひとつ越えたところで高速道路(こうそく)の口が開いて車が走るわれわれの降り場はばらばらにあってひとつだけある緊急ボタンメソッドをわりと本気で信じてる 葬儀のまえに片付けだろうあなたがた賢しらにしていつまでも崖をうろつくなら かわいいか最…
冬天のモノレール去るはしゃいだりこどもの声が落っことされたりいつも工事の人が立ってた入り口に誰もいなくて工事は終わり動物の檻に降り立つ青鷺にあいつ動物じゃないんじゃんね終業の鐘に途切れたはなしからくつがえされたままの仮説はもういいよ、池の…
剪定のための車がひとめぐりして枯れ花を積み上げている先延ばすあなたの緩い悪習を季節がうつるように見ていたバイオリン教室だった家の木がなくて明るいセンサーライト新設のバスターミナルにはなくなったお洒落な天井を覚えてる?冬風に揺れない枝と幹だ…
軒先のならぶ小道を抜けていく会ったひとには挨拶をする天満橋には橋がありコーヒーの容器に目印をつけておく通りすぎずにひと休みひとたちが現れてくる朝の広場は細枝にあおあおとして茎の根が薄雲色の花をかかげるカーテンの裾のあたりが濡れていて夜のど…
きみはいま同じ言葉を持っていて水脈はいつできたのだろう読むうちにテキストに枝伸びてゆく電線が木を横切っていたかれたちは忘れさられた水脈を井戸に蘇らせる枯れた地離席したのちつめたさを纏わせてしおりのような身体が来る街路灯ひかりの雪の輪がかか…
表面に木漏れ日うつす細やかな檻にジャガーが寝そべっている花の木は熱帯花木 立て札を立てなおしたら苦しくなるか全開の手前で止めた窓をまた誰かが閉じるまでの外圧蔓薔薇と葉のからまりを見上げればしげる樹木の影のかたまり近況のさなかに不意に手渡され…
部屋がない 朝に聞こえる雨音を部屋のひとから教えてもらう駅前のなくなってないお店からわたしはいない 大降りの雨裸木を透かして二人うつりこむ窓に写真を撮るわたしたちつかれはて四条を下る階段の先に下宿はなくなっている大小の橋をいくつか持ちながら…
ようやくの春の寒さの降り立ったわたしの知っている駅の春アパートの前を流れるせせらぎに刈られるだろう茂みがあった濡れた道のっぺりとして犬が行くあとを追いかけたい なにもない本棚で落ちあうはずのきみが来て気づいたあとも本を眺めるこれでほんとのお…
道行きは燃える蝶だと青年に告げる老人アレハンドロは川に沿う路線のバスが堤防を仰ぎつつゆっくり乗りあがる店先のモッコウバラが道に出てみんな迂回をする子供たちオールナイトをあがったあとの朝にいて開店時間を十五分待つ生垣のそばを通ると音がしてた…
風が吹き木からかえでの葉が落ちて冬の歩道を向かいへ走る革命のなごりが貼ってある寮の赤いポスター 甘酒もある返信をくだけた英語にして返すためになんども検索をするきみの名前で僕を呼んで 胸底を流れる川に脚を浸した一日におなじ眠りを二つして豊かに…
山間の暮れる路傍に待ちながらバス・ストップの箱は明るく小窓から池のほとりが見えていてかえでの影がうつろう水面ひとまずは林と思う構内の芝生とクスノキのあるところともだちのことならわかる 論文の論の運びにうれしくなった秋晴れのむやみな風を浴びて…
いりくんだ薔薇の落とした影のなか夕方になる時間をはかる気がつけば空き地になっていた家をすぎゆきざまにすすきが騒ぐ山と山のあいだに雲はくらがりをもたらしていく日の入りまでを散らばった髪束を掃く美容師に子犬のようなうずくまる黒おろかでもおりあ…