2018/04/15 月詠

ようやくの春の寒さの降り立ったわたしの知っている駅の春
アパートの前を流れるせせらぎに刈られるだろう茂みがあった
濡れた道のっぺりとして犬が行くあとを追いかけたい なにもない
本棚で落ちあうはずのきみが来て気づいたあとも本を眺める
これでほんとのお別れなんてほんとかなあ、なんて言ったら部屋で寝ていた友達にもらった自転車を曳いて一年ののち友達に遣る
雪積もる夢を見ているようだった 停車のたびに忘れていくよ
暮れていく京都タワーのふもとへと小さな階段で踏みこんだ
反対の席に座っているひとがさえぎっている窓のすみれを
まひるまの電車に光を受けていてわたしの本の抱きごころのみ

 

未来2018年7月