2017/12/15 月詠

風が吹き木からかえでの葉が落ちて冬の歩道を向かいへ走る
革命のなごりが貼ってある寮の赤いポスター 甘酒もある
返信をくだけた英語にして返すためになんども検索をする
きみの名前で僕を呼んで 胸底を流れる川に脚を浸した
一日におなじ眠りを二つして豊かにつづく連弾ピアノ
東屋にひとが集えばむなもとを濡らして同じだけ鴨が来る
手帳の薄いページにはさみ日の暮れのメタセコイアは透けた金色
自転車をおして歩いた裏道の一点透視図法のあかり
あなたなら分かるだろうねストーブと百合と薔薇のある喫茶室
側面が青いタイルのマンションをのぼりたかった通学路だった

 

未来2018年3月号