2018/05/14 河原町

部屋がない 朝に聞こえる雨音を部屋のひとから教えてもらう駅前のなくなってないお店からわたしはいない 大降りの雨裸木を透かして二人うつりこむ窓に写真を撮るわたしたちつかれはて四条を下る階段の先に下宿はなくなっている大小の橋をいくつか持ちながら…

2018/04/15 月詠

ようやくの春の寒さの降り立ったわたしの知っている駅の春アパートの前を流れるせせらぎに刈られるだろう茂みがあった濡れた道のっぺりとして犬が行くあとを追いかけたい なにもない本棚で落ちあうはずのきみが来て気づいたあとも本を眺めるこれでほんとのお…

2018/01/15 月詠

道行きは燃える蝶だと青年に告げる老人アレハンドロは川に沿う路線のバスが堤防を仰ぎつつゆっくり乗りあがる店先のモッコウバラが道に出てみんな迂回をする子供たちオールナイトをあがったあとの朝にいて開店時間を十五分待つ生垣のそばを通ると音がしてた…

2017/12/15 月詠

風が吹き木からかえでの葉が落ちて冬の歩道を向かいへ走る革命のなごりが貼ってある寮の赤いポスター 甘酒もある返信をくだけた英語にして返すためになんども検索をするきみの名前で僕を呼んで 胸底を流れる川に脚を浸した一日におなじ眠りを二つして豊かに…

2017/11/13 月詠

山間の暮れる路傍に待ちながらバス・ストップの箱は明るく小窓から池のほとりが見えていてかえでの影がうつろう水面ひとまずは林と思う構内の芝生とクスノキのあるところともだちのことならわかる 論文の論の運びにうれしくなった秋晴れのむやみな風を浴びて…

2017/09/21 月詠

いりくんだ薔薇の落とした影のなか夕方になる時間をはかる気がつけば空き地になっていた家をすぎゆきざまにすすきが騒ぐ山と山のあいだに雲はくらがりをもたらしていく日の入りまでを散らばった髪束を掃く美容師に子犬のようなうずくまる黒おろかでもおりあ…